大工と話すときは大工の言葉で - 仕事の哲学
自分の視点から発する言葉だけでは、相手には十分伝わらないこともあります。
- 作者: P・F・ドラッカー,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2003/08/01
- メディア: 単行本
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「マネジメントの父」とも呼ばれるピーター・ドラッカー。彼の数々の著作の中から「仕事」という視点で名言を集めた一冊です。
その中から、特に心に引っかかった言葉を二つ。
■成長
自らが行うことについては、つねに不満がなければならず、つねによりよく行おうとする欲求がなければならない。
(p.18)
自分の現状に対して満足してしまうと、そこから成長するのは難しいものです。常に上を目指そうとし、目標を高く持つことで、現状の自分に対して不満に思えることがあるはずです。
このことは、茂木健一郎さんの「思考の補助線」の以下の言葉が思い出されます。
「怒り」は、しばしば創造性の源になる。
(p.190)
目指すべき正しい方向があるのに、多くの人がそのことに気づかず、現状に甘んじている。あまつさえ、不満足な状況に堕していることを自己弁護、利益誘導に使う人たちがいる。そのような世界のあり様を見て、真実を求めるものは怒りを覚える。そのような局面における怒りは、一つの曇りのない現状認識の形式に他ならない。
(p.191)
■コミュニケーション
ソクラテスは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」と説いた。コミュニケーションは、受け手の言葉を使わなければ成立しない。受けての経験にもとづいた言葉を使わなければならない。
(p.128)
コミュニケーションは相手に伝わって初めて意味があるものです。そのためには相手を理解して、相手の興味を理解して、その上で伝えることが必要なのです。どれだけ、受け手の立場に立って受け手の聞きたい言葉で話せるかが、どれだけ伝えることができるかにつながってくるのでしょう。以前のエントリでも下のように書きましたね。
相手の聞きたいことを話す - 研修女王の最強3分スピーチ - 点と点をつなぐためのメモ - connecting the dots
だから、何か相手に伝えるためには、「相手の視点で、相手の関心事に関連させて、相手の言葉で話す」ということが重要になってくるのです。
何かを伝えたい相手の関心事に興味を持つことを常に心がけたいものです。