本当のサービス度とは客に選択肢を与えること - 「ハンバーガーを待つ3分間」の値段

これも、いかに相手の立場に立って物事を考え抜けるか、でしょうね。


「ハンバーガーを待つ3分間」の値段―企画を見つける着眼術
斎藤 由多加


シーマン」を生み出したことでも知られるゲームクリエーター斉藤由多加さんの『ほぼ日刊イトイ新聞』の連載などをまとめた一冊。ゲームクリエーターらしい物事への着眼点は大変参考になります。


まず、『「ハンバーガーを待つ3分間」の値段』というタイトルから興味深いのですが、これが何を意味しているかと言うのが以下の文からわかります。

「申し訳ございません。フィレオフィッシュは三分少々お待ちいただきますがよろしいでしょうか?」

「早い、安い、うまい」のファーストフードに寄せられている信頼、それは品切れ時に無理やり手を尽くして「ハンバーガー」を作ってくれることではなく、「あきらめる」という選択肢も一緒に提示してくれることではないか

マクドナルドから得られた私の結論は、「本当のサービス度とは客に選択肢を与えること」というものです。


ある対象への期待というのは人それぞれ違うものです。マクドナルドに対して多くの人が「早い、安い、うまい」を期待しているのだと思いますが、その「早い」の感じ方だって人によって違います。3分くらいだったら待てる人もいれば、1分で出てこないとイヤな人だっています。人それぞれ感じ方が違うのですから、それぞれが選択肢を持てるような状態にするのがいいサービスであるとも言えます。


逆に選択肢を与えない状態、つまり「すぐ出来ますので、少々お待ちください」と言われた状態に置かれると、その「すぐ」が1分以内なのか3分以内なのかそれ以上なのか、その言葉を聞いた客の立場からは判断がつきません。
つまりそれは、

「待たされている」ということは「自分の未来を選択する権利」失った状態

という状態にあると言えるでしょう。この状態は、昨日のエントリでも話題に上げた「心理的負担という取引コスト」であるとも言えます。取引コストを低くすることがサービス度の高い状態であると言えますから(あえて取引コストを高めている携帯電話会社もありますが。。。)、この心理的不安、つまり、「待たされている」という状態を取り除くための「未来を選択するための情報」を的確に提供していく、ということが、高いサービスを提供するための一つの方法と言えるでしょう。


本の中にも出てきましたが、それをキチンと実践しているのが、ディズニーランドですよね。